#45 Cutting Edge Blue (カッティングエッジ ブルー) 和訳 Chapter11「自動運転車」
[第一段落]
運転支援技術の普及は、今後数年間で徐々に進んでいくと思われます。
しかし、そう遠くない将来、完全な自動走行車が現実のものとなるでしょう。
そうなれば、既存の自動車は、蒸気機関車や固定電話のように古めかしいものになってしまうでしょう。
[第二段落]
そんな未来をイメージして、ロンドン郊外のヒースロー空港を訪れて、「ポッドパーキング」というエリアに行ってみましょう。
運転手のいない電動ポッドが道路上の専用道路を動くことで駐車場とターミナル間の移動ができます。
タッチスクリーンのキオスクを使ってポッドを呼び出し、目的地を指定します。
4人乗りのポッドが自ら車を停め、ドアが開きます。
ポッドに乗って、座って、スタートボタンを押します。
目的地に到着すると、他のポッドを避けてきれいに駐車し、次の乗客を乗せて出発していきます。
[第三段落]
自動運転車には大きなメリットがあります。
現在、交通事故の94%は人間のミスによるもので、その3大原因はアルコール、スピード違反、割り込みです。
事故によって、世界では年間約120万人が亡くなっています。
自動運転車は、アルコールを飲んだり、制限速度を破ったり、運転中にメールで中断されたりする可能性がないので、事故の発生頻度は格段に低くなるはずです。
新しい研究によると、アメリカの道路を走る自動車の90%が自動運転になった場合、事故の発生件数は年間550万件から130万件に、交通事故死者数は3万2400人から1万1300人に減少すると試算されています。
[第四段落]
安全性が高まるだけでなく、自動運転車は予測不能なブレーキを踏むことがなく、混雑した道路を避けて走行することができ、接近して走行することができるため、交通の流れがスムーズになります。
これらの要素はすべて、道路の容量(車の量)を増やすことにつながります。
テキサス大学の研究によると、アメリカの自動車の90%が自動運転になった場合、道路容量が2倍になると試算されています。
渋滞は、高速道路では60%、郊外の道路では15%削減されるでしょう。
また、自動運転車に乗っている人は、他の仕事ができるようになります。
その結果、生産性が向上し、アメリカでは年間1.3兆ドル、世界では5.6兆ドルの価値があると言われています。
また、子どもや高齢者、障がい者の自立も促進されます。
[第五段落]
車を常時使用することで、駐車場のスペースが大幅に減ります。
アメリカの都市では、駐車場の面積が24%も占めています。
都市部では、車1台あたり3.5台分の駐車スペースを確保しているところもありますが、それでも都市部のビジネス街では、運転時間の30%を駐車場探しのために費やしています。
駐車場のスペースを確保することで、より多くの人が都心に住めるようになるだけでなく、労働者がより遠くに住めるようにもなります。
移動中に眠れるなら、自動走行車はより長い通勤時間が可能になります。
[第六段落]
車好きの人たちは、20世紀に個人の自由の象徴となった機械の終わりを残念に思うでしょう。
しかし、運転手のいない未来では、人々はなぜ高い交通事故死率を容認したのか、なぜほとんど使われていない機械に多額の費用を費やしたのか、と考えるようになるでしょう。
自動運転車の世界は奇妙に聞こえるかもしれませんが、次の世代にとってみたら、車を所有する時代はもっと奇妙だったと思われるでしょう。
何か間違いがありましたら、コメントでご指摘していただけるとありがたいです。
次のチャプターの和訳です。