#46 Cutting Edge Blue (カッティングエッジ ブルー) 和訳 Chapter12「AIと仕事」
[第一段落]
過去200年間のテクノロジーの進歩は目覚ましく、私たちに多くの恩恵をもたらしてきました。
しかし、技術の社会への導入は必ずしも順調というわけではありませんでした。
最初の産業革命は、18世紀後半にイギリスで始まりました。
当時開発された機械は、それまでよりもより効率的に、簡単に、そして安く衣服を作ることができました。
とはいえ、最初は、皆がこのことをうれしいと思っていたわけではありません。
ラッダイトとして知られる、熟練した織物職人や繊維機械のオペレーターたちは、自分たちの仕事が奪われることを恐れていました。
彼らは、工場主による新技術の普及に抗議し、抵抗するために労働運動を始めました。
彼らの抗議行動は、機械を破壊するなどのもので、当局によって殺害されたラッダイトもいました。
[第二段落]
私たちが今知っているように、これらの技術の進歩は遅れることはありませんでした。
時が経つにつれ、それらは広く受け入れられ、評価されるようになりました。
やがて、蒸気機関のような革新的な技術が、ヨーロッパをはじめとする世界各地で重機を動かすようになりました。
1800年代末の第2次産業革命では、蒸気機関と電気の使用が開始されました。
20世紀後半の第3次産業革命では、コンピュータをはじめとするデジタル技術や通信が発達しました。
そして最近では、人工知能(AI)や高度なロボット工学の発展により、第4次産業革命が起きていると専門家は言い切っています。
[第三段落]
しかし、現在でも、現代技術がもたらす潜在的な弊害についての警告を耳にします。
最新のAIの発明は、労働者や企業、社会全体に悪影響を及ぼす可能性があると主張する研究者もいます。
最も懸念されるのは、過去の時代と同様に、 機械が人間の職場に取って代わってしまうということです。
これらの研究者は、 今後数年間で多くの職業がAIやロボットによって失われるかもしれないと指摘しています。
タクシーやトラックの運転手、清掃員、工場労働者などが、そのリスクにさらされると考えられています。
[第四段落]
AI革命が大量の失業を導くのではないかという懸念さえ表明されています。
何人かの専門家によると、2030年までに世界で最大8億人の雇用が失われる可能性があるといいます。
さらに、機械に仕事を奪われるのは、あまりスキルがなく、教育もあまり受けていない労働者であり、富裕層と貧困層の差が大きくなる可能性が高いと言われています。
これが社会的な対立や不安定さを生むと考える人もいます。
[第五段落]
しかし、必ずしもそのように未来を否定的にとらえる必要はありません。
AI技術のせいでいくつかの仕事がなくなるようなことが起こっても、全体として雇用が減ることはありません。
新しい仕事が出てくるでしょうし、ロボットを管理し維持するために、ずっと人間が必要とされるでしょう。
また、社会的関係や対人関係に関わる仕事など、機械にはできない仕事もたくさんあります。
例えば、フレンドリーな販売員や、親切で思いやりのある介護士を機械に置き換えることは難しいでしょう。
実際に、経済協力開発機構(OECD)の最近の報告書では、これまで考えられていたほどの多くの仕事がなくなることはないだろうと研究者は予測していました。
[第六段落]
では、第4次産業革命がもたらした新しい時代に、できるだけスムーズに移行するために、私たちはどうすればよいのでしょうか。
技術的な発明が人々の生活に与える影響を認識し、それに対応することが重要です。
政府は、職を失った労働者に向けて再教育や新たな機会を提供しなければなりません。
また、特定の地域で多くの仕事がなくなると、その町や都市に新しいハイテク産業を持ち込む必要が出てきます。
[第七段落]
過去の産業革命では、人々は機械に取って代わられることを恐るという経験をしていました。
しかし、実際には新しい技術は新しい雇用機会を生み出し、私たちの生活を大きく向上させることになりました。
過去の葛藤と成功を心に留めて、今日も協力して、最高の形のAIのある未来を一緒に作っていきましょう。
何か間違いがありましたら、コメントでご指摘していただけるとありがたいです。
次のチャプターの和訳です。